ノベルスフィア賞 選考座談会4 「総括編」
編集部のsuzukiです。「選考座談会」、いよいよ最後の第4回となります!
この企画のラストとして、自作ゲームフェス4とノベルスフィア賞の総括を審査員3人でしていきます。
なんの企画? という方はこちら。
第1回「佳作4作品編」はこちらになります。
第2回「優秀賞3作品編」はこちらになります。
第3回「ノベルスフィア賞編」はこちらになります。
それでは、続きからどうぞ!
編集部員紹介
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笠井。編集長。
自他ともに認める鍵っ子にして、ノベルゲームに魅せられた男。「ノベルスフィア」を切り盛りする運営力・技術力を併せ持ち、ノベルゲーム愛の心で編集部を取り仕切る。
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M。編集部員その1。
同人・商業問わずノベルゲームを日々読み漁り、豊富なプレイ経験を土台にした評価には定評がある。読者目線を忘れず、作品への没入感を重視する。
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suzuki。編集部員その2。
広く浅く変なものを探しており、現在はノベルゲームの持つ不思議な魅力に興味津々。「ノベルスフィア」ではスクリプトも担当し、構造的な方向からの評価を好む。
この違いは多分、フリーゲームが挑戦しやすい環境だからだと思う
- 笠井
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それでは、すべての受賞作品の選評も終わったところで、最後にまとめという形で話をしていきましょう。
振り返って、Mさんどうだった?
- M
- はい。まずは、今回の座談会が好評をいただいているようで、ホッとしましたw これも、どの受賞作品も魅力的でたくさん話すことがあったからこそだと思います。また私自身も、複数人で意見を出し合うことで、自分では思いつかないような感想も出て楽しめました。
- suzuki
- 惜しくも選外とさせていただいた作品の中にも、熱く議論された素晴らしい作品が多かったですね。硬派な作りと硬派なストーリーがともかく堅いstudio wasp様の「紅蜘蛛 / Red Spider」、てりやきトマト様の癒し系彼女と不思議な日常を過ごす育成系ノベル「Leanan-Sidhe(リャナン・シー)」、未完成が惜しまれる高クオリティ中国産ノベルである夜兎AVG様の「塵沙惑」、ゲーム性が強く主張されつつも圧倒的な演出力が映えるImCyan様の「雪絵 -戦闘付き和風ADV-」、……。あげればキリがないですね。
- 笠井
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ノベルだけでも40作品ぐらいあったしね。この数は自作ゲームフェス4全体のエントリーでみても、一大勢力といってもいいでしょう。
これだけ作品が集まるということはまだまだノベルの力が健在ということで、ノベルゲームプラットフォームの運営者としては嬉しい限りだね。
- suzuki
- 作品の多さもそうですが、使用されたエンジンの多様さも触れておきたいところですね。確かに、吉里吉里2・NScripterの二強がまだまだ強いのですが、様々なエンジンが採用されているなと思いました。受賞作品をみても、使用エンジンにはかなりのバラつきがあります。
- 笠井
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使用エンジンのバラつきは僕からすると意外というか、ハッとすることだった。というのも、商業や有料同人に目を向けると、大手の独自エンジンを除くと吉里吉里が圧倒的に強いんだよね。
この違いは多分、フリーゲーム界が様々なチャレンジをしやすい環境だからだと思う。受け手に提供しなくてはならないものが有料に比べて少ないぶん、作り手がやってみたいことを反映させやすいんだよね。
- M
- なるほど。確かに、フリーゲームにはnostalgia様の「クリーチャーと恋しよっ! for乙女」のような挑戦的な作品も多いですよね。
- 笠井
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定番エンジンを除くと、採用されているものはマルチプラットフォーム対応のものが多いんだよね。やっぱり時代は変わっていて、ゲームをプレイする層がWindows機に触れる機会というのは確実に減ってきている。フリーゲーム界隈はこの流れに素早く対応しているといえると思う。
吉里吉里もNスクも確かに良く出来たエンジンなのだけど、「いままで使ってきたから」という理由で無批判に使用し続けるのは、実は危険なことなのかもしれない。
- suzuki
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もちろん、ここでO₂ Engineという選択がサッと出てくれるように、我々も一層努力していかないといけませんね。
特に自作ゲームフェスの土壌を考えると、ブラウザから直接遊べるというのは相性も良いと思いますし、どんどん使いやすくして、作り手の方々にアピールしていきたいです。
温故知新、という言葉が思い起こされる
- M
- Windowsでしかプレイできないことが障壁になるというのはすごく分かるのですけど、やっぱり昔からのノベルゲームファンは基本的にWindowsでプレイしますよね。そういう方々もとても大事だと思います。
- 笠井
- うん。プレイしたい人ができないというのは、単純に残念なことだよね。「牟奄-ムエン-」の選評でも触れたけど、“ノベルはノベルをプレイする前から始まっている”と思う。「牟奄-ムエン-」のときは作品の雰囲気の導入について話しているときに出した言葉だけど、この考え方は、プレイ環境などもっと根本的な要素にも適用できるのではないか。
- suzuki
- プラットフォーム、ひいてはエンジンが過渡期であるということは、ゲームデザイン自体も過渡期なのかもしれません。そういう意味でも「ソラミミ×DIAMOND」や「ghostpia」を筆頭に、色々なコンセプトのノベルがあって未来を感じました。
- M
- そうですね。一方で「falling」のような、オーソドックスで重厚なノベルが持つ魅力もやっぱり大事にしていきたいですよね。プレイ後にホッと溜息をついてしまう“あの感じ”は、やっぱりノベルゲームじゃないと体験できないと思うんですよ。私は“あの感じ”に衝撃を受けたからこそノベルゲームをやっていますし、制作者の側にもそういう方は多いと思います。
- 笠井
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(力強く頷きながら)全くだね。
月並みだけど、温故知新という言葉が思い起こされる。ノベルゲームの歴史と美少女ゲームの歴史は、切っても切り離せない関係だけど、ノベルゲームは美少女ゲームだけのものではない。特にフリーゲームの世界だと、一層その色彩が強くなると思う。
次回の自作ゲームフェスも、どんな作品が集まるか楽しみだね。
またたくさんの作品と出会えると思うと今からワクワクしますね
- suzuki
- おお、次回の自作ゲームフェス! ドワンゴさんからも告知がありましたね。
- 笠井
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そう、早くも自作ゲームフェス5のエントリー募集が開始されています。もちろん、我々ノベルスフィアも協賛させていただく予定です。
選評座談会という形で結果をお届けするかはまだ未定だけれども、ノベルスフィア賞には今回と同じように「ノベルスフィア賞・優秀賞・佳作」を用意するつもりです。
いろいろこの座談会で編集部の考えを語ってきたけど、あまりそれに縛られず、皆さんの強み・魅力を存分に発揮した作品を期待しています。
- M
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またたくさんの作品と出会えると思うと今からワクワクしますね。
エントリー予定の皆様、お体に気をつけて頑張ってください!
- suzuki
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あと、これは企画の段階ですけど、自作ゲームフェスへの協賛だけでなく、ノベルスフィア独自のノベルコンテストの開催も予定しています。
形式や時期などはまだまだ未定なのですが、ノベルゲームを一層盛り上げていけるようなものにしたいと考えています。ご期待ください!
- 笠井
- という辺りで、座談会も締めましょうか。
- M
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いっぱい喋りましたねー。読者の皆さん、ここまで読んでいただきありがとうございます。
そして受賞者の皆さん、おめでとうございます! 素敵な作品をありがとうございました。
- suzuki
- そうですね。「牟奄-ムエン-」以外にもこんなに素晴らしい作品があるのに、この情報を私たちだけに留めておくのはもったいない! という話からこの企画の勃興に至ったのですが、そもそもブログがなかったからそこから作ることにw
- 笠井
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ブログを作って情報発信をしていこうという案は立ち上げ当初から議論されてきたのだけど、行動に移せなかったんだよね。
なので勝手ながら、きっかけを作っていただいたという意味でも感謝だね(笑)
- M
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あ、ブログの話題が出たことですし、ブログの今後についても話しておきますか。
この「ノベルスフィアニュース」は、ノベルゲーム配信サイト「ノベルスフィア」の情報はもちろん、今回のようなノベルゲームに関する企画や、ノベルゲーム開発に役立つ情報を配信していく予定です。
ノベルゲーム好きが集まるブログにしていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします!
- 笠井
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2014年ももう終わりですね。
来年、ノベルスフィアは本格的に始動していきますので、皆様どうかよろしくお願いします!
- suzuki
- よろしくお願いします!
次回更新は1月中旬予定。良いお年を
一ヶ月にわたってお送りしました選評座談会でしたが、ここまでになります。
いかがでしたでしょうか。
次回更新は、年も明けて1月中旬の更新を予定しています。
(でもこの間にゲリラ的な投稿もあるかも……?)
最後にコミケに参加される皆さん、ご武運をお祈りしております。
それでは、よいお年を!